知的財産権講座第54回:営業秘密の保護

知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。

私が実際に仕事で出くわすような話ですね。

最新の知財検定2級実技試験(2015年7月12日実施)より、
営業秘密の保護の問題です。

問24 食品メーカーX社の知的財産部の部員甲は,
知的財産部の部長乙から自社の出願戦略において,発明を
特許出願すべきか営業秘密として保護すべきか否かに
ついて質問を受けている。

X社の法務部の部員甲の発言として,適切と考えられるか。

「発明を特許出願すべきか営業秘密として保護すべきかは,
その発明に基づいて事業化した場合に,その発明への第三者の
到達の程度によって決定すべきです。
販売された製品から発明を技術的に理解できる場合には,
特許出願をするのが望ましいと思います。」

正解は、○適切です。


発明として「思い付いたアイデア」を保護するためには、
特許出願をしなければと、すぐ思いがちです。

しかし、特許出願をすると、原則としてその内容
が公開されてしまいます。

特許出願をして、特許を取得できれば、
保護されますが、特許出願し公開されると
技術内容を模倣されるおそれがあります。

また、もしあなたが特許出願して特許取得
した場合に、他社が無断であなたの発明を
模倣した際に、あなたは特許権侵害
として訴えることを考えます。

特許侵害訴訟では、販売された製品から発明を
技術的に理解できる場合の方が、特許侵害の
立証が容易となり有利となり得ます。

したがって、
その製品を調査、分析から技術内容が理解される
のなら、特許出願をすることが望ましいです。

しかし、製品を調査、分析から技術内容が理解
されないノウハウの場合は、特許出願により
公開されてしまうより、営業秘密として
保護をする方が望ましいです。

営業秘密は、不正競争防止法により
保護されます。

実際に、製品戦略を立てる場合には、
「思い付いたアイデア」を保護するためにどうするか?

特許出願をするのか、営業秘密として保護するのか
を、十分に検討することが重要です。

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