知的財産権講座第156回:知っておくと役立つ特許の話

特許権を侵害された場合の対応は
どうすればよいのか

 

電機メーカーA社は、液晶TVの技術の特許を
保有しています。

どうやら、最近、電機メーカーB社が発売した
液晶TVは、A社の特許権を侵害しているらしい
ということがわかりました。

さて、A社は、どのようにB社に対応したらよいでしょう。

ここで、まず特許権とはどんな権利かを
確認してみましょう。

特許法では、
「特許権者は、業として特許発明の実施する
権利を専有する」と定めています(68条)。

「発明の実施」とは、発明には「物の発明」
と「方法の発明」があります。

「方法の発明」の例として、以下があったとします。

A社の液晶TVの技術の特許において、
「特許請求の範囲」に、
「Xの材料とYの材料とZの材料を用いた液晶を
使用する液晶TVの製造法」

 

この液晶TVという「方法の発明」の実施とは
もちろん、特許である液晶TVの製造法
と同じ製造方法で液晶TVを製造することです。

また液晶TVの製造方法により、生産した物の使用、
譲渡等、輸出、輸入などの行為も含まれます。
譲渡は、物の販売や貸出を言います。

生産方法の発明の場合は、特許権者が、
他人が無断でその発明の生産方法で
生産したことを証明することは難しいです。

特許権を侵害していると思われる他人の
生産現場を見ることは不可能に近い
からです。
まず、見せてはくれません。

それでは、生産方法の特許の価値がありません。

そこで、特許法は「物の生産方法の推定」(104条)
という規定を設けて生産方法の特許の保護を
強化しています。

その物は、特許権のある「生産方法で生産されたと
推定する」ということです。

この推定を覆すためには、特許権を侵害していると
思われる他人は、特許権のある「生産方法で生産
されていない」ことを証明しなければなりません。

この証明は、普通は難しいと思われます。

こうして、特許法は、生産方法の特許の保護を
強化していることになります。

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