知的財産権講座第45回:商標権

知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。

私が実際に仕事で出くわすような話ですね。

あなたは商標登録を受けたら、その商標を使用いていないと
商標登録を取り消されるかもしれませんよ!
という話です。

商標は、使用してこそ保護する価値があり、我が国
の産業発展に貢献するというわけです。

使用していない登録商標は、保護の価値がない
ということです。

では、これに関連した問題を紹介しましょう。

甲は、洋菓子店を営んでおり、自分で
創作した洋菓子に「レ・タフェ・ボンジュール」
という名前を付けて販売していた。
ある日、X社から「レ・タフェ・ボンジュール」
はX社の登録商標であるため、商標の使用を
差し止める旨の警告を受けた。

甲が調査したところ、商標「レ・タフェ・ボンジュール」
を指定商品「洋菓子」のみについて確かにX社の登録
商標として登録されていたが、商標登録後3年以上、
X社は、商標「レ・タフェ・ボンジュール」を
「洋菓子」に使用していないことが判明した。

次の記述は適切でしょうか?

エ X社は、商標「レ・タフェ・ボンジュール」を日本国内で
使用していなかったが、フランスにおいて
大々的に商標「レ・タフェ・ボンジュール」を
「洋菓子」に使用してした。
この場合、甲は不使用取消審判によりX社の商標登録を
取り消すことができない。

正解は、誤り×です。

登録商標は、実際に使用していない場合には、不使用取消審判
により取り消される場合があります。

商標は、使用してこそ保護する財産価値があり、我が国
の産業発展に貢献するというわけです。

使用していない登録商標は、保護の価値がないからです。

不使用取消審判は、継続して3年以上「日本国内」で
商標権者等が、指定商品についての登録商標を使用していない
ときは、誰でもその指定商品に関する登録商標を取り消す
ことについての審判を請求できます。

X社は、商標「レ・タフェ・ボンジュール」を、
フランスにおいて使用していましたが、日本国内
で使用していませんでした。

したがって、甲は不使用取消審判によりX社の商標登録を
取り消すことができないことになります。

ここで、関連して、商標の国際的な保護について
紹介しておきます。

マドリッド協定議定書に規定される制度を利用すれば、
複数の国での、商標登録を受けるための手続が
簡略されます。

しかし、それはあくまで出願手続だけです。
各国で、商標登録が受けられるかの実体審査は、
その国ごとの判断によります。

パリ条約でも、各国の商標の独立の原則が
謳われています。

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