知的財産権講座第47回:著作権
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
最新の知財検定2級実技試験(2015年7月12日実施)より、
著作権の問題です。
コンテンツの利用方法について,X社の法務部の部員が
発言1~3をしている。
発言2について,適切と考えられるか?
その理由は?
発言2
「コンテンツBは,直近に改正された著作権法を解説した
解説本です。著作権法の改正 があったことを,
コンプライアンス目的のために,社内に周知させたいので,
この解説本を電子化して社内専用の
電子掲示板に掲載したいと思います。
コンテンツBを社内専用の電子掲示板に掲載しても
問題はありませんね。」
●正解は、× 不適切です。
●理由は、
「著作権の侵害であるが、著作隣接権の侵害ではない。」
実は、出題では、理由については、選択肢の中から
選ぶ形式になっています。
●まず、この問題では、
コンテンツBは、著作権法を解説した「解説本」
というところが、ポイントです。
コンテンツBは、著作権法の解説本の著作者の著作権を
侵害することになります。
著作権法の条文そのものなら、著作権の侵害
とはなりません。
しかし、この問題の場合は、著作権法の解説ですので、
創作行為ですので、著作権を侵害することになります。
参考までに、
事件を報道する記事の場合、
「いつ、どこで、何があった」という事実のみを
報道するのだから、著作権は発生しないのでは?
と思われることがあるかと思います。
しかし、
事件を報道には、取材した記者の考えや見方が
入っていることが多く、著作権は発生している
と考えられる場合が多いです。
明らかな事実とは、「富士山の標高は3765m」です。
という場合です。
●次に、
コンテンツBを社内専用の電子掲示板に掲載しても
問題はありませんね。
「社内専用」というところが、ポイントです。
「社内専用」だから、私的利用に当たるので
著作権を侵害しないのではないか?
私的利用に当たれば、著作権の侵害には
なりません。
しかし、
社内専用の場合は、私的利用に当たりません。
私的利用とは、例えば、著作権法を解説した
「解説本」を電子化して自分で見る場合です。
また、新聞などを電子化(例えば、PDFにする)
して、社内専用の電子掲示板に掲載することも
著作権の侵害にあたります。
これらの行為は、簡単で便利なため、つい
うっかりやってしまいがちですが、
著作権の侵害に当たりますので、
注意しましょう!