知的財産権講座第22回:特許権侵害
2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験
カメラメーカーX社は、特許発明A「新規な合金aを用いて軽量化したボディ
に無色透明なレンズbを装着したカメラ」に係る特許権を有している。
そのカメラメーカーY社が、合金aを用いて軽量化したボディに色つきの
広角レンズcを装着したカメラBを製造販売していることがわかった。
ア~エを比較して、X社の考えとして、適切であるか。
ア 特許発明AのレンズbをカメラBの色つきの広角レンズcに置き換える
ことについて、カメラの製造技術分野における通常の知識を有する者
が、カメラBの製造販売時に容易に想到できたものであるか否かは、
Y社の侵害行為を認定するにあたり、重要な判断要素となる。
正解は、○
特許権の効力が、どこまで及ぶのかという、特許権の範囲の解釈の問題です。
原則は、発明を特定する事項を、すべて備えていなければ、特許権の範囲に
含まれません。
しかし、この原則によると、少しでも発明特定事項(構成要素)が異なれば
特許権の範囲に含まれないことになり、特許権者や第三者に不利になることが
あります。ひいては、産業の発達を妨げることにもなります。
そこで、発明特定事項(構成要素)が異なっていても、一定の場合には、
特許発明と「均等」であるとして、特許権の範囲に含まれるとされます。
これを「均等論」と言います。
この問題では、「均等論」が重要な判断要素となります。
無色透明なレンズを色つきの広角レンズに、置き換えることが、カメラの
製造技術分野における通常の知識を有する者=「当業者」が簡単に思い
付くかどうか?
これが重要なポイントです。
ここで「当業者」とは、カメラメーカーやカメラ技術者などであり、
素人ではありません。
カメラの特許発明Aを思い付けるような専門知識を持つ人のことです。