知的財産権講座第21回:知財戦略
2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験
新規事業への進出を検討しているX社では、知的財産戦略会議を開いた。
この新規事業は、X社が培ってきた重要技術Pを用いた製品Aを製造販売
することが中心の事業すぁる。ア~エを比較して、知的財産の部員の発言
として、適切であるか。
エ 「日本では特許権の侵害は、非親告罪となっていますので、当社の重要技術P
に係る特許権を侵害する他社は警察が取り締まってくれます。従って、当社
が何もしなくても当社の重要技術Pは守られ、当社の製品Aは、日本市場を
独占できます。」
正解は、×です。
特許権の侵害は、親告罪です。
非親告罪では、ありません。
非親告罪と親告罪とは、何でしょうか。
非親告罪とは、被害者や当事者が自分で訴えを起こさなくても警察が
取り締まってくれる罪です。
例えば、殺人罪は、警察に訴えなくても、警察は捜査します。
しかし、特許侵害については、侵害された側が訴える必要があります(親告罪)。
特許権を侵害していますよ、と警察が取り締まってはくれません。
もし、取り締まってくれれば、企業の知財部は仕事が楽になるでしょうね。
他の会社が、自社の特許権を侵害しているか?
ウオッチングすることは、大変な仕事です。
さらに、もし他の会社が、自社の特許権を侵害しているようだ、としてその証拠を
つかむことも難しいです。
そもそも特許権の侵害は、専門的な内容で警察が取り締まることは無理でしょう。
日本では知財高等裁判所が、専門で特許侵害訴訟を取り扱います。
やはり、知的財産権は、専門的な内容ですので、普通の裁判所では判断が難しいからです。
なお、この裁判は、弁護士だけでなく訴訟を扱える資格を有する弁理士も、法廷に立てます。