知的財産権講座第157回:知っておくと役立つ特許の話

特許権を侵害された場合の対応は
どうすればよいのか

 

電機メーカーA社は、液晶TVの技術の特許を
保有しています。

どうやら、最近、電機メーカーB社が発売した
液晶TVは、A社の特許権を侵害しているらしい
ということがわかりました。

さて、A社は、どのようにB社に対応したらよいでしょう。

ここで、まず特許権とはどんな権利かを
確認してみましょう。

特許法では、
「特許権者は、業として特許発明の実施する
権利を専有する」と定めています(68条)。

「発明の実施」とは、発明には「物の発明」
と「方法の発明」があります。

「物の発明」の例として、
A社の特許権があります。

 

A社の液晶TVの技術の特許において、
「特許請求の範囲」に、
「Xの材料とYの材料とZの材料を用いた液晶を
使用する液晶TV」

この液晶TVという「物の発明」の実施とは
液晶TVの生産、使用、譲渡等、輸出、
輸入などの行為を言います。
譲渡は、物の販売や貸出を言います。

 

特許権を侵害しているかどうかの
判断では、実施行為独立の原則
という考え方が用いられます。

例えば、液晶TVの特許権の発明があるとして、
液晶TVを製造したメーカーだけでなく、
液晶TVを販売した販売店も、その行為は
侵害とみなされます。

製造行為と販売行為(譲渡行為)は、
独立しているからです。

すなわち特許侵害訴訟で勝つと、特許権者
は、その製品の製造だけでなく、販売店
の製品販売も差し止めることが
できます。

ただし、例えば、液晶TVの特許権を持つ
メーカーが、正当に販売した液晶TVを、
購入した人が、自分で使用する場合、
転売した場合は、特許権侵害になりません。

ここに注意しましょう

正当に液晶TVが販売された時点で特許権は、
用い尽くされたと考えられるから
です(権利の用尽あるいは消尽)。

よく、思い違いをされる方がおられます。

注意しましょう

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