知的財産権講座第138回:楽しく学ぶ著作権・問題編
「楽しく学ぶ著作権・問題編」
知財検定2級レベルの問題を
元に解説していきます。
知財検定を受験されない方でも、
著作権法のポイントについて、
理解していただけると思います。
今回は、
自分のお店や会社のホームページに
情報を掲載する際の注意点です。
気を付けないと、ついうっかりと
間違えてしまいそうな事例です。
2013年7月28日実施の第15回より
2級実技試験
問23:
飲食店を経営する甲は、自身が経営する
店のホームページを開設し、そこにお店
のメニューや写真などのさまざまな情報
を掲載している。
ア~エを比較して、このホームページに
掲載することとして、問題が発生する
可能性が最も低いものとして、最も適切と
考えられるものは、どれか。
ア 雑誌に店が紹介されたので、この雑誌の
記事をホームページに掲載すること
イ 店の周辺情報として、近くの公園に設置
されている有名な彫刻家が作製した彫刻
が写っている写真をホームページに掲載
すること
ウ 店のホームページを開くと、甲が好きな
歌手が作曲した曲が流れるようにすること
エ 店の宣伝になるよう、有名な俳優が来店
した際に、甲と一緒に撮った写真を
ホームページに掲載すること
正解は、イ ○
解説は、
間違いやすい、勘違いしやい点を
私の言葉で書いています。
ご承知おきください。
なお、ア、ウ、エともに、著作権者の許諾を
得ればOKです。
アは×
アは、雑誌の記事は、雑誌社及び
記事を書いた著作者の許諾を得なければ
ホームページに掲載できません。
著作権の侵害に当たる可能性があります。
この問題文で、気になることは、
雑誌の記事を引用の形で、掲載する場合は
正しい引用がなされていれば、OKですが
そのことは考えなくてもよいのだと
思います。
他の問題の肢イが、文句なく問題の発生の
可能性が低いですからね。
イは○
屋外にずっと(恒常的)に、設置されている
彫刻は、公衆に向けられた著作物です。
原則として、写真撮影は自由に利用できます。
有名な彫刻家が作製した彫刻が写っている写真を
ホームページに掲載することは、問題ありません。
彫刻家の許諾は必要ありません。
ウは、×
歌手などの許諾を得ないと、歌手が作曲した曲
が流れるようにすることはできません。
著作権の侵害に当たる可能性があります。
なお歌手が作曲した曲を流れるようにしたければ、
著作権者の許諾を得なければなりません。
許諾を得なければならない相手は、
歌手や演奏家、編曲者、作詞家、
レコード会社、プロダクションなど
なのか
調査して、許諾契約を結ぶ必要があります。
著作権の権利処理、許諾契約を結ぶなど
行政書士の業務の範囲です。
エは、×
俳優には、その氏名や写真には、
経済的な価値が認められます。
これは、判例で「パブリシティ権」
として認められています。
したがって、俳優の「パブリシティ権」
の侵害という問題が発生する可能性
があります。
俳優が、自身の写真に著作権を
持っているわけではありません。
この点にも、注意しましょう。
どうしても、甲と一緒に撮った写真を
ホームページに掲載したいなら、
俳優かあるいは、俳優の所属する事務所
の許諾を得るということになります。
口頭の契約より、契約書を締結する
方がよいと思います。
その交渉・契約を行政書士など専門家に、
依頼するものよいでしょう。