知的財産権講座第139回:楽しく学ぶ著作権・問題編

「楽しく学ぶ著作権・問題編」

知財検定2級レベルの問題を
元に解説していきます。

知財検定を受験されない方でも、
著作権法のポイントについて、
理解していただけると思います。

2013年7月28日実施の第15回より
2級実技試験

次の文章は、最高裁平成9年7月17日判決についての
文章である。

一話完結形式の連載漫画においては、登場人物が
描かれた各回の漫画は、それぞれ著作物にあたり、
具体的な漫画を離れ、登場人物のいわゆる
キャラクタをもって著作物ということ「 1 」。

キャラクターといわれるものは、漫画の具体的
表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき
「 2 」であって、具体的表現そのものではない。

このような連載漫画においては、後続の漫画は、
先行する漫画を「 3 」したものということが
できる。

問38
空欄「 1 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

問39
空欄「 2 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

問40
空欄「 3 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

「語群Ⅳ」
ができる  はできない   抽象的概念
翻案  引用   具体的概念
著作権を有するが著作者人格権は有しない
著作者人格権及び著作権を有する

正解は、
問38 はできない

問39 抽象的概念

問40 翻案

最高裁平成9年7月17日判決は、
著作権者が、漫画のキャラクタである「POPEYE」
ポパイの図柄のネクタイが、著作権侵害で
あるとして販売差し止めを訴えたものです。

その中で、「漫画のキャラクタ自体は、
著作物として著作権保護の対象とは
ならない」としています。

著作権法の保護対象は、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、
文芸、学術、美術又は」と定義しています(2条1項1号)。

これを見ると、「思想又は感情を創作的に
表現したもの」に当てはまるのかな
と思ってしまいます。
しかし、
例えば、漫画の主人公の明るいキャラクタ、
人格は、やはり著作物ではないというべきです。

問38と問39は、問題文の文脈から比較的容易に
正解を導き出せると思います。

問40は、翻案か引用か少し迷うところです。

翻案とは、「原著作物を元に、内面的表現を
維持しつつ、新たな創作性を付加して具体的
な表現形式を変える」です。

まさに連載漫画は、先行する漫画に新たな
創作を加えていくもの=翻案に該当すると
考えられます。

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