知的財産権講座第137回:楽しく学ぶ著作権・問題編

「楽しく学ぶ著作権・問題編」

知財検定2級レベルの問題を
元に解説していきます。

知財検定を受験されない方でも、
著作権法のポイントについて、
理解していただけると思います。

2013年7月28日実施の第15回より
2級実技試験

問20:
システム開発会社X社は、大手通信事業者Y社の
依頼を受けて、開発契約を締結し、Y社の
携帯電話用ネットワークで利用可能なゲーム
のプログラムAの開発を請け負っている。
ア~エを比較して、
最も適切と考えられるものは、どれか。

ア 開発契約中に特約がない限り、Y社が請負代金の
履行を遅延した場合であっても、X社は、
プログラムAの複製物の引渡を拒絶することができない。

イ 開発契約中に特約がない限り、X社の従業員が発明
したプログラムAに関する特許権はY社に帰属する。

ウ 開発契約中に特約がない限り、著作権の帰属に
かかわらず、Y社は、プログラムAの複製物の
所有権を取得した後には、プログラムAについて、
バックアップのためのコピーをとることができる。

エ 開発契約中に特約がない限り、プログラムAに
関する著作者はX社となるが、著作権はY社に属する。

正解は、ウ ○

解説は、
間違いやすい、勘違いしやい点を
私の言葉で書いています。
ご承知おきください。

アは×

アは、民法の問題です。
知財検定には、民法の契約に関する基本
問題が出題されます。

知財の契約の基本は、民法ですから。

結論は、この段階では、X社は複製物の
引渡しを拒絶できます。

相手方のY社が自分の義務を履行しないのに
自分だけ義務を履行しなければならないと
することは、不公平ですよね

この主張を、「同時履行の抗弁権」と
いいます(民533条)。

民法を学んだことがある方には、簡単な
問題でしょう。

また強制履行もできません。
強制履行とは、国家権力を用いて
契約内容を実現することです。

強制履行をするためには、原則として、
裁判所に訴えて判決を受ける必要があります。

イは×

X社の従業員が発明したプログラムAに関する
特許権は、特約がない限りAに帰属することに
なります。

発明は、X社で行われたものだからです。
Y社は、X社に開発を委託しただけです。

ウは、○

Yプログラムの複製物の所有者は、
自らの利用上必要と認められる範囲内
でプログラムAについて、バックアップコピー
をとることができます。

「開発契約中に特約がない限り、著作権の帰属に
かかわらず」と、余分な記載があると、かえって
何か、例外はあったか
と考えて迷ってしまうかもしれません。
惑わされず、原則通りです。

エは、×

プログラムAの創作をしたのはX社で、
X社が著作者であると同時にX社が
著作権者を持ちます。

開発委託をしたY社が、プログラムAの
著作権を持つためには、著作権を
X社がY社に譲渡するという契約を
結ばなければなりません。

この問題に関連した話を付けくわえます。

なお、この契約を結んでも、X社は
プログラムAの著作者ですので、
著作者人格権を持ちます。
X社が持ちます。

この点にも、注意しましょう。

実務的には、Y社は、X社との間で
X社が著作者人格権を行使しない
との契約も結ぶことが多いです。

そうすれば、Y社はプログラムAの一部変更
をする際に、一々、X社の許諾を得る必要が
ないからです。

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