知的財産権講座第134回:楽しく学ぶ著作権・問題編

「楽しく学ぶ著作権・問題編」

知財検定2級レベルの問題を
元に解説していきます。

知財検定を受験されない方でも、
著作権法のポイントについて、
理解していただけると思います。

2013年7月28日実施の第15回より
2級実技試験

映画製作会社であるX社は、2年後の夏に公開
する映画を製作することになった。
X社の社員だけで映画の著作物を製作し、X社
の名義で、公表する場合、X社は「 1 」
のが原則である。

一方、X社が映画製作者となり、社外の映画監督
である甲に映画の製作を依頼し、甲が映画の
製作に参加することをX社に約束している
場合、X社は「 2 」のが原則である。
また、この場合、甲は「 3 」のが原則である。

問38
空欄「 1 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

問39
空欄「 2 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

問40
空欄「 3 」に入る、適切な語句を、「語群Ⅳ」
の中から選び、解答用紙に記入しなさい。

「語群Ⅳ」

著作者人格権を有するが著作権は有しない

著作権を有するが著作者人格権は有しない

著作者人格権及び著作権を有する

正解は、

問38 著作者人格権及び著作権を有する

問39 著作権を有するが著作者人格権は有しない

問40 著作者人格権を有するが著作権は有しない

問38
映画は、X社の職務著作になります。
X社が著作者であり著作権者です。
著作権者と著作者が同じです。
したがって、著作者人格権及び著作権を
有することになります。

問39と問40は、問38と異なり、
X社が、映画の著作権者となり、
映画監督甲は、著作者となります。
著作権者と著作者が異なります。
ここに注意します。

X社は著作権者ですので、著作権を有します。
映画監督は、著作者ですので、
著作者人格権のみを有します。

X社は、映画の著作権を有しますので、
著作権を財産権として売買したりできます。

一方、映画監督甲は、著作者人格権を持ち、
勝手に映画の内容を変えられたりしない
(同一性保持権)、
自分の名前を映画に表示させる権利や
(氏名表示権)、
いつ映画を公表するかという権利を
持ちます(公表権)。

実務では、予め映画製作会社Xと映画監督甲
との間で、甲が著作者人格権を行使しない
との契約を結んでおくことが多いです。

映画製作会社が、例えば映画の一部をカットして
TVコマーシャルに使いたい場合に、その都度、
映画監督甲の許諾を得る手間を省きたいからです。

なお著作者人格権は、その人に帰属します。
法律用語では、「一身専属性」を持ちます。
したがって、著作者人格権は他人に
譲渡できません。

この点も併せて、理解しておくと
よいと思います。

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