知的財産権講座第111回:なんと無断でデザインを変更された!
なんと無断でデザインを変更された!
著作権法の、これだけは知っておいた方が
よいポイントを紹介しています。
著作者人格権とは
デザイナーのあなたは会社Pから、新しい商品の
宣伝に使うキャラクタとポスターのデザインを
依頼されました。
デザインが完成し、採用となり会社から報酬を
受け取りました。
あなたは、その後のある日、その新商品発表
イベントを訪れて、驚きました
自分のデザインが変更されており、
自分の名前もどこにもありませんでした。
この場合、どう対応したらよいのでしょうか
あるいは、何を根拠に対応したらよいのでしょうか
あなたは著作権は、P社に譲渡しています。
しかし、あなたは著作者人格権を持っています。
著作者人格権に基づく主張ができます。
著作者人格権には、以下の3つがあります。
*著作権法を、以下は法と略します。
①公表権(法18条)
②氏名表示権(法19条)
③同一性保持権(法20条)
今回の事例では、②氏名表示権と
③同一性保持権
で、あなたはP社に権利を主張する
ことができます。
P社に対して、デザインを元に戻すこと。
あなたの氏名を表示すること。
を請求することができます。
実務では、
会社は、自由にデザインを変更して使いたい場合、
「著作者(デザイナー)は、著作者人格権を行使しない」
という特別の契約を結ぶことがあります。
(著作者人格権不行使契約)
この場合、デザイナーである、あなたは、
通常より高い報酬を受け取れる場合が
あります。
著作者人格権を会社には譲渡できません。
また著作者人格権を放棄できません。
著作者人格権は、著作者の一身に所属する
ものだからです。
このような文言の入った契約は、法的には無効
ですので、結ばないように注意が必要です。
知的財産管理技能検定やビジネス著作権検定
でも、出題されるポイントです。