知的財産権講座第20回:知財戦略
2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験
新規事業への進出を検討しているX社では、知的財産戦略会議を開いた。
この新規事業は、X社が培ってきた重要技術Pを用いた製品Aを製造販売
することが中心の事業すぁる。ア~エを比較して、知的財産の部員の発言
として、適切であるか。
ウ 「まずは新規事業が開く製品分野を市場に認知してもらうことが必要です。
従って、製品分野に、多くの企業の参入を促すために、当社の重要技術P
に関して保有している全特許権を無償ライセンスしましょう。」
正解は、×です。
新規事業が開く製品分野を市場に認知してもらうことは、必要です。
このことを実現するための、自社の特許を用いた事業戦略は重要です。
自社の特許を、多くの企業にライセンスして、ライセンス料で収益を上げる。
よい戦略です。
しかし、「全特許権を無償ライセンスする」というのは、余りにもったいなく
適切な戦略ではありません。
みすみす、特許で上げられるかもしれない収益を、ドブに捨てるようなものです。
特許権は、維持していくためには、特許料を払い続けていかなければなりません。
しかも、年を経るとともに、特許料は上がっていきます。
この特許の維持の経費もバカになりません。
自社の特許権の見直しも必要で、役立たない特許は、特許料を納入せず放棄してしまう
こともしなくてはいけません。
この場合、X社がやるべきことは、競合他社の自社の特許権に関する技術の分析です。
競合他社の特許調査です。
自社、競合他社の特許の強み、弱みを、特許調査により分析し明確にすることです。
その分析結果を元に、事業戦略、特許戦略を立案する必要があります。