知的財産権講座第42回:商標権
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
あなたは商標登録を受けたら、その商標を使用いていないと
商標登録を取り消されるかもしれませんよ!
という話です。
商標は、使用してこそ保護する価値があり、我が国
の産業発展に貢献するというわけです。
使用していない登録商標は、保護の価値がない
ということです。
では、これに関連した問題を紹介しましょう。
甲は、洋菓子店を営んでおり、自分で
創作した洋菓子に「レ・タフェ・ボンジュール」
という名前を付けて販売していた。
ある日、X社から「レ・タフェ・ボンジュール」
はX社の登録商標であるため、商標の使用を
差し止める旨の警告を受けた。
甲が調査したところ、商標「レ・タフェ・ボンジュール」
は指定商品「洋菓子」のみについて確かにX社の
登録商標として登録されていたが、商標登録後
3年以上、X社は商標「レ・タフェ・ボンジュール」
を「洋菓子」に使用いていないことが判明した。
次の記述は適切でしょうか?
ア X社は、商標「レ・タフェ・ボンジュール」を指定商品
「洋菓子」に類似する「和菓子」に使用していた。
この場合、甲は不使用取消審判によりX社の商標登録を
取り消すことができない。
正解は、×
登録商標は、実際に使用していない場合には、不使用取消審判
により取り消される場合があります。
商標は、使用してこそ保護する財産価値があり、我が国
の産業発展に貢献するというわけです。
使用していない登録商標は、保護の価値がないからです。
不使用取消審判は、継続して3年以上日本国内で
商標権者等が、指定商品についての登録商標を使用していない
ときは、誰でもその指定商品に関する登録商標を取り消す
ことについての審判を請求できます。
ここで注意すべきは、登録商標を指定商品に使用していなければ
取り消されるということです。
したがって、本問題の記述の、
X社は、商標「レ・タフェ・ボンジュール」を指定商品
「洋菓子」に類似する「和菓子」に使用していたという場合は、
登録商標を指定商品に使用していないので、取り消すこと
ができます。
今回は、登録商標の不使用取消審判の要件の一つの
「登録商標の使用」についてでした。
登録商標は、しっかり登録後に使用・管理をすることが
重要です。
そうしないと、せっかく登録商標を取得しても取り消される
場合もあります。
注意が必要です。
次回は、登録商標の不使用取消審判の他の要件について
紹介する予定です。
今回の問題も、知的財産権コンサルタント、
知的財産権の実務的な問題でした。