知的財産権講座第37回:知財戦略
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
電子部品メーカーV社の知的財産部の部員が、社内の会議に出席して、
、発言を行ってている。
この発言は適切と考えられるか。
イ 事業部の事業戦略会議での発言
「製品の市場参入については、当社の独自技術の開発を待って
いたら出遅れてしまうので、採算性を見積もった上で、X社から
の技術ライセンスを受けて実施したらいかがでしょう。
その場合、X社からライセンスを受けるのですから、X社への
当社の特許のライセンスを特に検討する必要はありません。」
正解は、×
V社が、X社が欲しい技術の特許を持っているかもしれません。
その場合は、X社へのV社の特許のライセンスを検討する
必要があります。
製品開発を急ぐため、自社の持っていない他社の技術、その
特許が必要になる場合があります。
この場合は、他社から特許のライセンスを受けることを検討
します。
その際には、他社の特許調査をしっかりとしておくべきです。
他社がその技術の周辺の特許をどのくらい持っているのか、
その特許の価値を見定めるためです。
また、他社の特許に関連する自社の特許についても調査が
必要です。
自社が、有効な特許を持っていれば、ライセンスを受けようと
している他社が欲しいと思いかもしれません。
その場合は、自社の特許と他社の特許を互いに無償で使用
できる契約=クロスライセンスを結ぶ場合もあります。
大手電機メーカー同士は、クロスライセンスを結ぶ場合が多いです。
電機製品は多くの技術、特許が使われており、互いに強い技術
と弱い技術を補完することで製品が成り立つ場合が多いからです。
大手電機メーカーでは自社にとって実施する上で、問題となる特許が
見つかってもその特許が大手電機メーカーのものなら、大丈夫と
考える場合もあります。
もちろん、その詳細は検討してみなければなりませんが。
今回の問題は知的財産権コンサルタント、知的財産権の実務的
な問題でした。