知的財産権講座第38回:知財戦略
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
電子部品メーカーV社の知的財産部の部員が、社内の会議に出席して、
、発言を行ってている。
この発言は適切と考えられるか。
ウ 本社戦略室の特許戦略会議での発言
「特許マップを作成して、当社及びライバルメーカーであるY社の
技術の強み弱みを分析したところ、この分野の当社の知財力、
技術力はY社よりかなり劣っているようでした。
よって、この事業に参入すべきでないですし、維持コストが
かかる当社のその分野の特許権も即座に放棄すべきでしょう。」
正解は、×
この発言のこの分野の当社の知財力、技術力はY社より
かなり劣っているようでした。
よって、この事業に参入すべきでないです
は正しいです。
しかし、維持コストがかかる当社のその分野の特許権
も即座に放棄すべき というのは誤りです。
自社では、不要と思う特許権でもライバルメーカー
にとっては必要な特許かもしれません。
現段階で即座に特許権を放棄すべきではありません。
確かに特許権を維持していくためには特許料を
特許庁に納付していかなければならず、
特許を長く維持していこうとすると、特許料
は高くなっていきます。
特許権を維持するか、放棄するかの見直しは
定期的にしていく必要があります。
その際には、ライバルメーカーの特許調査を行うこと、
自社の将来の事業戦略を決めること、などじっくりと
検討してから決める必要があります。
また、
特許マップを作成して、自社及びライバルメーカーの
技術の強み弱みを分析することは、事業のいろいろな
段階で行うべき重要なことです。
研究開発のテーマを決めるとき、新製品の製造・販売
を始めるときには、特許調査⇒特許マップを作成
⇒自社の強み弱みを分析
知財を経営に生かすことの実践の一つです。
知的財産経営です。
今回の問題は知的財産権コンサルタント、知的財産権の実務的
な問題でした。
今後も、このような問題も取り上げていきます。