知的財産権講座第36回:商標権

知財検定2級実技試験の問題より商標権の出題です。

携帯電話機メーカーX社は、新商品であるスマートフォンを開発し、
商品名「QUEEN」をスマートフォンに付して製造し、3カ月前に販売を
開始した。
X社の知的財産部の部員甲は、販売直後に先行商標の調査を
したところ、携帯電話機メーカーY社が、指定商品「携帯電話機」に
ついて商標「QUEEN」とする商標権Mについて、X社の新商品の販売開始
の1年前に登録を受けていたことがわかった。
また、Y社は、商標権Mについては使用していないこともわかった。
甲は、知的財産部の部長Zに対して調査報告をし、さらに発言を
している。

この発言は適切と考えられるか。

発言3 「当社としては、使用していなくても商標権を取得することが
のできたので、製造販売前であってもY社より先に商標登録
出願をすべきでした。」

正解は、○

商標を使用していなくても、商標権を取得することが
できます。

商標の使用を商標権の取得にための要件とすると、
商標の使用の証明を求めたりすることになり、
審査の負担が増しますし、何より権利の不安定に
なります。

そこで、商標を使用する意思があれば、商標権を
取得できることとしています。

X社は製造販売前であり商標の使用前であってもY社より
先に商標登録出願をすべきでした。

商標を使用していなくても、商標権を取得することが
できるので、現在はその商標を使用していなくても
将来使用する予定があれば商標登録出願をしておく
必要があります。

この場合は、自分の会社のブランド戦略をよく考えて
商標登録出願をしておくことが重要です。

すでに著名な商標を持っている場合、その商標に関連
した商標を出願しておくことも、権利を守り強化する
ブランド戦略として必要です。

商標を使用していなくても、商標権を取得することが
できます。

しかし商標権は、使用していないと取消審判により
取り消されることもあります。
注意すべきことです。

商標権者が3年間、登録商標を使用していないと、
他人は不使用取消審判(商標法50条)を請求することができます。
この請求が認められれば、その登録商標は取り消されます。

商標は、使用されて信用が備わってこそ、知的財産権として
保護すべき価値があるからです。

商標権は、権利取得後もしっかりと活用と管理をして
必要があります。

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