知的財産権講座第24回:特許権侵害

2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験

カメラメーカーX社は、特許発明A「新規な合金aを用いて軽量化したボディ
に無色透明なレンズbを装着したカメラ」に係る特許権を有している。
そのカメラメーカーY社が、合金aを用いて軽量化したボディに色つきの
広角レンズcを装着したカメラBを製造販売していることがわかった。
ア~エを比較して、X社の考えとして、適切であるか。

ウ Y社が製造販売特許しているカメラBは、広角レンズcが色つきであり、
特許発明Aに係るカメラは、レンズbが無色透明であることから、Y社の
カメラBを製造販売する行為は、明らかに特許発明Aに係る特許権の侵害
を構成しない。

正解は、×

特許権の効力が、どこまで及ぶのかという、特許権の範囲の解釈の問題です。

原則は、発明を特定する事項を、すべて備えていなければ、特許権の範囲に
含まれません。

ここでは、Y社が製造販売特許しているカメラBが、X社の特許発明A
の特許権の範囲に含まれるかどうか?が問題です。

Y社が製造販売特許しているカメラBが、X社の特許発明Aの特許権の範囲に
含まれなければ、特許権の侵害になりません。

それでは、問題の中味を見ていきましょう!

Y社が製造販売特許しているカメラBは、広角レンズcが色つきであり、
特許発明Aに係るカメラは、レンズbが無色透明であることから、Y社の
カメラBを製造販売する行為は、明らかに特許発明Aに係る特許権の侵害
を構成しない。

カメラBの技術と特許発明Aは、全く同じでありません。
カメラBは、広角レンズcが「色つき」であるのに対して、特許発明Aに係るカメラは、
レンズbが「無色透明」であるからです。

しかし、カメラ製造技術分野の当業者にとって、「色つき」のレンズを「無色透明」の
レンズに置き換えることが容易に思い付くものである場合には、カメラBの技術と
特許発明Aは同じとみなされることがあります。

したがって、Y社のカメラBを製造販売する行為は、明らかに特許発明Aに
係る特許権の侵害を構成しないとは、いえません。

特許の侵害訴訟においては、自分の技術・製品が、相手の特許権の権利範囲に
含まれるか?が争点になる場合が多いです。

重要な論点ですね。

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