知的財産権講座第214回:著作権の侵害では?
著作権の侵害では
以下、著作権の質問についての回答です。
●質問
デザイナーのAさんは、雑誌社の知り合いから
原稿をアルバイトとして依頼されました。
いろいろな資料を集めて、苦労しながら
無事に原稿を書き上げ、雑誌に掲載されました。
ところが、ある日のこと、その雑誌の読者から
「この記事は、ある人が書いている記事と
ほぼ同一の内容である。」との投稿が
ありました。
調べてみたところ、確かに記事が
自費出版されていました。
しかし、Aさんは、その記事を一度も
読んでいませんでしたので、驚きました。
著作権の侵害では
さて、Aさんの以下の判断は正しいでしょうか
●自費出版の書籍が先に出版されているので、
それとほぼ同一内容のAさんの記事は、
自費出版の書籍の著作権を侵害する。
この判断は、正しく無いです。
著作権の侵害とは、
著作権者の許諾を得ないで、著作物を
利用することです。
ここで、侵害が成立するための条件として、
原著作物に「依処」して作成された著作物
であることが挙げられます。
Aさんは、原著作物=自費出版の書籍
を一度も見たことがないのですから原著作物に
「依処」していないことになります。
「依処」=参考にして創作する。
ほぼ同一の内容の著作物が、時間を前後して
創作されたとしても、それぞれ別の著作物
であると考えられます。
したがって、双方の著作権を侵害するもの
でないと考えられます。