知的財産権講座第142回:楽しく学ぶ商標

「楽しく学ぶ商標」

知財検定2級の問題を元に解説していきます。

知財検定を受験されない方でも、
商標法のポイントについて、
理解していただけると思います。

2013年11月24日実施の第16回より
2級学科試験

問7:
ア~エを比較して、商標登録出願の審査に
関する記述として、最も不適切と考えられる
ものは、どれか。

ア 自社の商標登録出願に係る指定商品と、
他社の登録商標に係る指定商品が非類似
の場合であっても、その他社の登録商標
を引用して、自社の商標登録が拒絶される
場合がある。

イ 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみ
からなる商標であっても、商標登録される
場合がある。

ウ ありふれた氏を普通に用いられる方法で
表示するだけの商標であっても、商標登録
されることがある。

エ 需要者が何人かの業務に係ることを認識できない
商標であっても、商標登録されることがある。

正解は、エ ×

商標登録出願は、「商標名」と「指定商品」を
指定して出願します。

指定商品は、その商標を使用したい商品分類
を45の商品分類から選びます。

その商標をチョコレートの他に、洋酒にも
使用したいなら、その商品分類を指定しないと、
後で、洋酒に使用したくても使用できません。

アについて、○

商標は、簡単に言えば、ある商品を他の商品
から区別するための標識です。

例えば、「SONY」という著名な商標は、
「電器製品」では、もちろん有名です。

指定役務「化粧品」で、「SONY」を
他社が商標登録出願しても、拒絶される
場合があります。

「電器製品」と「化粧品」は、非類似ですが、
著名な商標では、需要者に識別の混同を生じる
おそれがあるからです。

電機メーカーが、多角化事業戦略で、化粧品
の販売を始める可能性もありますしね。

イについて、○

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(マーク)
として、スポーツ用品メーカーのナイキのマーク
を例とします。

あのような、簡単なマークは、原則として
拒絶されます(商標法3条1項5号)。

識別力がないからです。

しかし、例外規定の3条2項があり、大々的に
広告・販売された結果、特定の企業の商品
であると需要者が識別できる場合は、
商標登録を受けられる場合があります。

ブランド品、「クリスチャン・デオール」
のマークも例でしょう。

これらのマークが商標登録を受けているかどうかは、
私は未確認です。

ウについて、○

ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示
するだけの商標は、原則として
拒絶されます(商標法3条1項5号)。

識別力がないからです。

しかし、例外規定の3条2項があり、大々的に
広告・販売された結果、特定の企業の商品
であると需要者が識別できる場合は、
商標登録を受けられる場合があります。

例として自動車メーカー「ホンダ」を
思い浮かべてください。

エについて、×正解

需要者が何人かの業務に係ることを認識できない
商標であっても、この規定には例外規定の3条2項
の適用がありません。

とうてい、この商標に識別力があるとはみなされません。

この例として現在の元号である「平成」や
キャッチフレーズがあります。

需要者にとって、商標がその商品の識別力を
有すること。

これが、商標登録を受けらるための必要な
要件です。

法の原則と例外の適用についても、注意が
必要ですね

商標法の場合は、商標の具体例をイメージ
することが大切ですね

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