知的財産権講座第132回:楽しく学ぶ著作権・問題編
「楽しく学ぶ著作権・問題編」
知財検定2級レベルの問題を
元に解説していきます。
知財検定を受験されない方でも、
著作権法のポイントについて、
理解していただけると思います。
2013年7月28日実施の第15回より
2級実技試験
出版社X社の法務部の部員は、コンテンツA~C
の利用方法について、発言している。
発言3
「このコンテンツCは、「日本のお祭り」
というテーマで、乙が日本各地で開催された
お祭りに行った際にしたためた感想文を、
丙が英語に翻訳したものです。
コンテンツCを複製するにあたっては、
丙の許諾を得れば、乙の許諾を得る
必要はないよね。」
問17
発言3について、適切と考えられる場合は
「○」を、不適切と考えられる場合には
「×」を解答用紙に記入しなさい。
問18
問17において、適切又は不適切であると
判断した理由として、最も適切と考え
られるものを、「理由群Ⅳ」の中から
一つだけ選び、対応する記号を解答用紙
に記入しなさい。
「理由群Ⅳ」
ア 共同著作物にあたるため
イ 編集著作物にあたるため
ウ 二次的著作物にあたるため
エ 著作物の定義にあてはまらないため
正解は、
問17 ×
問18 ウ
コンテンツCは、乙の感想文という著作物
を、丙が英語に翻訳したもので、
丙の英語翻訳文は二次的著作物になります。
この場合は、コンテンツCを複製するには、
丙の許諾だけでなく、原著作者
である、乙の許諾も必要です。
やはり、原作者のオリジナリティは
保護されるべきだからです。
他国の言語による翻訳文は、広く
「二次的著作物」と認められます。
著作権法2条1項11号に、二次的著作物を
定義し保護しています。
しかし、文章の暗号化や点字化は、
複製に当たります。
機械的に行われるためです。
この点を、ご注意ください
さらに、二次的著作物の例としては、
小説を元にした映画があります。
例えば、第三者が小説を元にした
映画をインターネットで公開する
場合には、小説家と映画の著作者
の双方の許諾を得る必要があります。
この点も併せて、理解しておかれると
よいと思います。