知的財産権講座第58回:著作権
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
最新の知財検定2級実技試験(2015年11月15日実施)より、
著作権に関する問題です。
アパレルメーカーX社の法務部員は,コンテンツAの利用方法に
ついて発言1~3をしている。
発言2
「コンテンツBは、写真家の丙と丁がパリ、ニューヨーク、ロンドン、
ミラノ、東京でお洒落なファッションをしている若者を撮影した写真
の中から、戌が特に気に入った写真を選んで集めて作成した雑誌です。
コンテンツBを複製するにあたっては、個々の写真を撮影した丙と
乙の許諾を得れば、戌の許諾を得る必要はありません。」
発言2について、適切と考えられるか?
正解は、×不適切です。
●解説
なぜならば、
戌が特に気に入った写真を選んで集めて作成した雑誌は、
「編集著作物」にあたるからです。
「編集著作物」とは、百科事典や新聞、雑誌などは、その
素材の選択や配列に、編集者の個性が表現されていると
考えられるものです。
(著作権法12条1項)
本問の場合、コンテンツBを複製するにあたっては、戌は、
編集著作物の著作者として著作権を有するため、
戌の許諾を得る必要があります。
なお、写真家の丙と丁がパリ、ニューヨーク、ロンドン、
ミラノ、東京でお洒落なファッションをしている若者を
撮影した写真については、丙と丁が著作権を有するため、
丙と丁の許諾も得る必要があります。
著作物の利用のため、著作権者の許諾を得ることを
実務では、「権利処理」と言います。
著作物の著作権者を見つけて、交渉し著作権者の許諾を得て、
契約書の作成を行うことです。