知的財産権講座第48回:著作権

知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。

私が実際に仕事で出くわすような話ですね。

最新の知財検定2級実技試験(2015年7月12日実施)より、
著作権の問題です。

コンテンツの利用方法について,X社の法務部の部員が
発言1~3をしている。

発言3について,適切と考えられるか?
その理由は?

発言3
「コンテンツCは,最近発売された,著名なピアニストである丙
が作曲し,自ら弾いたピアノ曲のシングルCDです。
丙のファンである丁は,コンテンツCのCD音源を使用して,
自己が考えた歌詞をピアノ曲に合わせて歌った動画を,
無料で視聴できる動画サイトにアップロードしています。
このアップロードは,営利を目的とせず個人的な
趣味でやっているものであっても,問題ですね」

●正解は、○ 適切です。

●理由は、
「著作権及び著作隣接権を侵害する。」

実は、出題では、理由については、選択肢の中から
選ぶ形式になっています。

●まず、この問題では、
丁が、無料で視聴できる動画サイトにアップロードする
こと、営利を目的とせず個人的な趣味でやっている。

これが「個人的な利用」の範囲だと考えられるか?
がポイントとなります。

もし「私的使用」の範囲なら、丙の著作権及び
著作隣接権を侵害しないからです。

無料で、営利を目的としないといっても、
動画サイトにアップロードすることは
動画サイトを公衆が利用できることから、
「私的使用」には当たりません。

●理由は、
「著作権及び著作隣接権を侵害する。」です。

丙の著作権は、丙がコンテンツCを作曲していること
から容易に理解できると思います。

丙の著作権隣接権とは、どのような権利でしょうか?

●「著作権隣接権」とは、実演家、レコード製作者、
放送事業者に与えられる権利です。

著作権法の法の目的である「文化の発展」から
著作物等を公衆に伝えることも重要です。

したがって、実演家等には、無断で演奏する
録音・録画されない権利である「著作権隣接権」
が与えれます。

この問題の場合は、丙はコンテンツCを作曲し著作権を
持つとともに、コンテンツCを演奏する実演家として
「著作権隣接権」も持ちます。

したがって、
「著作権及び著作隣接権を侵害する」
ことになります。

今回は、あまりなじみがない「著作権隣接権」
を、しっかりと理解しましょう!

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