知的財産権講座第18回:知財戦略
2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験
新規事業への進出を検討しているX社では、知的財産戦略会議を開いた。
この新規事業は、X社が培ってきた重要技術Pを用いた製品Aを製造販売
することが中心の事業すぁる。ア~エを比較して、知的財産の部員の発言
として、適切であるか。
ア 「米国にある競合会社であるY社が、重要技術Pを搭載した新製品を
米国でのみ販売していますが、当社の重要技術Pに係る特許権は日本
でしか登録されていないため、Y社の当該販売行為について差止請求権
を行使することはできません。」
正解は、○です。
特許権は、各国ごとに独立に成立し、存在します。
特許独立の原則です。
特許は、各国の産業の発達を図るものですから、米国と日本や欧州など、
お国柄で、国内の保護しようとする産業や技術が違いますから。
したがって、当社の重要技術Pに係る特許権は日本でしか登録されていないため
米国では、特許権を行使できません。
米国で、特許権を行使したいなら、米国で重要技術Pの特許権を取得する
必要があります。
自分の会社にとって重要な技術は、日本の他に、米国、欧州などの主要国、
あるいは、自社が進出しようとしている国で特許権の取得をしておいた方が
よいです。
国際出願は、費用と労力がかかりますので、どの国に国際出願するかについて
は、よく戦略を練る必要があります。
なお特許権に基づく差止請求権は、販売を止めたり、その在庫品を廃棄させたり
できる強力な権利で、特許権の侵害を止める即効性のあるものです。