知的財産権講座第17回:特許協力条約
2013年11月24日実施の知的財産管理技能検定第16回より2級実技試験
次の発言は、X社の知的財産部の部員甲が外国出願に際して、
特許協力条約(PCT)について説明しているものである。
実際に権利化を図りたい国に対しては、原則として、優先日
から「 3 」経過時までに移行手続をとることが必要です。
問37
空欄「 3 」に入る、適切な語句を、「記入しなさい。
正解は、
問36 「 3 」は、30カ月
この問題を考える上では、特許協力条約(PCT)の制定の趣旨から
考えてみましょう!
特許法などは、各国ごとにあります。
その国の産業政策により、特許法などは異なります。
その国で、特許権を取得したい場合は、その国の法律に則った
出願をしなければなりません。
しかし、各国が勝手に、特許法を制定していたのでは、手続き上不便です。
そこで、一つの国に特許出願をしたことで、各国へ出願したことと
同じ扱いをするという、出願人に便利な制度が求められます。
これが、特許協力条約(PCT)による国際出願制度です。
国際出願制度を利用して、特許出願をすると、出願人は、例えば日本に
出願すると、他の国、アメリカ、ヨーロッパ各国に特許出願をした
効果が得られます。
「すべてのPCT締約国」に対して正規の国内出願の効果を有します。
しかし、特許協力条約(PCT)は、あくまで特許出願の手続
を統一するだけです。
さて、国際出願がなされると、各指定国の言語による翻訳文の
提出や各国国内手数料の支払いなどの指定国に対する国内
手続は、優先日から30カ月まで遅らせることができます
すなわち米国に日本から国際出願をする場合は、翻訳文等の
提出の猶予期間が30カ月となるというメリットがあります。
また、その間に出願人は、国際調査報告や国際予備審査の
結果を検討し、どの国において権利化する必要があるか
判断できます。
なお優先日とは、パリ条約や特許協力条約(PCT)等の優先権制度を利用し
優先権を主張する際に、その優先権の主張の基礎となる出願の日を言います。