知財経営の実践(その7)特許出願とノウハウの保護
1. 知財の持つ価値
知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。
〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。
知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。
自社の強みを分析してみることが必要です。
強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
2. 知財経営: 基本技術を活かす
自社の強みとなる技術的に優位性のある技術は、知的財産として保護する必要があります。
技術を知的財産として保護する方法というと、特許取得による保護がまず頭に浮かぶと思います。
しかし、技術を知的財産として保護する方法は、特許取得だけではありません。
ノウハウとして保護するという方法もあります。
特許出願をして保護するのか、ノウハウとして保護するのか知財戦略の視点から検討する必要があります。
検討するにあたっては、その特徴を理解し、判断のポイントをつかむ必要があります。
特許出願をするか、ノウハウとして保護するのかの判断のポイントは、その技術を
検出することができるかどうかです。
その技術を検出することができれば、特許出願して権利化するという選択をします。
3. 知財経営: 特許出願とノウハウの保護
例えば、製品が複写機用のトナーであるとします。
トナーのバインダー樹脂の配合と製法に技術的優位性がある場合、トナーからその製法で製造したことが簡単に検出できない場合があります。
その場合には、特許を取得し、他社がその特許権を侵害しても、侵害を検出する可能性が低いでしょう。
もちろん、特許出願の工夫で、技術を容易に検出することができるようにするということも考えることができます。しかし、特許出願だけでなく、ノウハウとして保護できないかということを検討すべきです。
逆に、技術を容易に検出することができない場合に、特許出願をすると、ノウハウが特許出願により公開されてしまいます。
また、特許侵害として提訴することが難しいため、他社に模倣されてしまうリスクがあります。
技術的に優位性のある技術を、将来的に知的財産として保護するかは重要な知財戦略です。
次回に続きます。
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて{知財戦略事例集」(2007.4特許庁)