知的資産経営その35(特許権侵害を争う方法)

特許権侵害を争う方法

知財経営と特許侵害

 

知財経営の基本の一つは、特許網(ポートフォリオ)を構築して他社に対する参入障壁を高めることです。
強い特許網を形成すると、競合他社は市場参入は難しいと考えて参入してこないことが多いです。
しかし、なかには強い特許網を形成していいても、市場参入してくる場合があります。
このような場合は、どのように対応したらよいでしょうか。
特許権侵害というと、裁判を起こして争うということが思い浮かびます。
この訴訟だけでなく法的に対抗する手段があることを知っておきましょう。
「訴訟」の他に「判定制度」、「ADR(裁判外紛争手続き)」があります。
特許権の侵害を受ける場合と侵害していると警告される場合の両方の立場から争う戦術も学ぶことが必要です。
また実際に争う場合は、専門家に相談しましょう。

 

特許権を侵害された場合の特許権者の保護

 

特許権の侵害が行われた場合には、特許権者には次の民事上の保護が与えられます。

・侵害行為を止めさせる差止請求
・侵害により受けた損害に対する損害賠償請求
・失った信用を回復させる信用回復の措置

また、特許権者には刑事上の保護が与えられます。
侵害者は、10年以下の懲役又は1千万円以下の罰金が科せられます。
あわせて法人の場合は、3億円以下の罰金が科せられます。
さらに、税関での侵害製品の輸入や輸出の差止の申し立て等の行政処分による保護があります。
最適な争う方法を選ぶ必要があることや交渉戦術があるため実際に争う前に、専門家に相談しましょう。

特許権侵害を争う方法

 

・民事的解決

民事的解決方法としては、「訴訟」、「判定制度」、「ADR(裁判外紛争手続き)」があります。
最初に侵害の相手方に、警告状を発するのが一般的です。
警告状を発する前には、相手方の侵害の事実や自分の特許権に「瑕疵」がないかなどを十分に検討する必要があります。
この際には、弁護士・弁理士の鑑定書や特許庁の判定制度等を活用することが一般的です。
警告を発した場合に、相手方から発明は特許権の侵害でばないと主張されたり、特許が無効であるとの主張(特許無効審判)を請求されることがあります。
自らの持つ特許権の有効性について、再度、確認しておくこが必要です。

 

・行政の活用

海外での侵害製品に対しては、税関での侵害製品の輸入や輸出の差止の申し立て等の行政処分による保護があります。
なお国内での侵害者の告訴も可能です。
この場合、特許庁の判定制度を利用して侵害している根拠とすることもできます。

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