知的財産権講座第83回:ここがわかるか?が山の特許法(1)

ここがわかるか?が山の特許法

「拡大先願」について、説明します。
(特許法29条の2)

簡単な事例を元に説明します。

特許出願A:特許請求の範囲a/明細書b

特許出願B:特許請求の範囲b/明細書C

Aは、Bより先に出願されました。
AとBの発明者、出願人は、異なります。

特許出願された発明Aは、出願日から1年6カ月後に
公開されます。

その間に、同じ発明Bが他の出願人から出願されていた
場合、
先の発明Aの出願公開日より前に出願された発明Bは、
公開されていない先の出願Aにより新規性がない
として拒絶されません。

登録されるおそれがあります。

同一の発明について、先に出願した発明に特許が
付与されます。

この規定は、特許請求の範囲に記載された発明
について適用されます。

この例ですと、AとBの特許請求の範囲は、
aとbとで、異なりますので、後の出願Bが
特許を受けられるおそれがあります。

そこで、先の出願Aが公開される前でも、後の出願Bが
、先の出願Aの明細書、特許請求の範囲に記載された
発明と同一の場合には、出願Bは特許を受けられないと
規定されています。
(特許法29条の2)

この例ですと、
Aの明細書には、bが記載されていますので、
Bは、特許を受けることができません。

注意しなければならないのは、この規定は、
AとBの発明者または出願人が同じ場合は
適用されないことです。

自分の先の出願Aでは、自分の後の出願B
により拒絶されません。

この辺りは、わかりにくいためか、
よく出題されるところです。

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