知的財産権講座第56回:民法など
知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
最新の知財検定2級実技試験(2015年11月15日実施)より、
契約に関するトラブル対応の問題です。
X社は,保有する特許権についての通常実施権をY社に
有償でライセンスする契約を締結した。
Y社は、契約に基づいてライセンス製品の製造販売を始めたが、
契約の期日になっても、X社にライセンス料を支払わなかった。
X社が契約違反として、Y社に対するとり得る措置に関して、
適切と考えられるか?
X社は、契約違反を理由として、自らY社に赴き、Y社の
承諾なくライセンス料の範囲内でライセンス製品の
在庫を持ち帰ることはできない。
正解は、○適切です。
●解説
相手方が、契約内容を履行しない場合は、
国家権力を用いて契約内容を実現することが
認められています。
つまり裁判で、契約内容を実現できる判決を
受けることが必要です(民法414条)。
本問では、契約違反を理由として、自らY社に赴き、Y社の
承諾なくライセンス料の範囲内でライセンス製品の
在庫を持ち帰るという、「自立救済」という行為を
行おうとしています。
法治国家では、「自立救済」は、禁止されています。
最終的に、ライセンス料の支払いが期日になっても
なされなかった場合、裁判所に提訴して契約内容
を実現することができます。
また、当事者が契約に関して、どの裁判所に提訴
できるかの特約を入れます。
この点は、ライセンス契約に盛り込んでおく
必要があります。
実際には、裁判所に提訴する前に、内容証明郵便などで
相手に催告することになります。
内容証明の作成は、行政書士など専門家に依頼
する方が、間違い無いです。