知的財産権講座第153回:知っておくと役立つ特許の話

特許権の権利の範囲はどのようにして
判断すればよいのか

例えば、
電機メーカーA社は、液晶TVの技術の特許を
保有しています。

どうやら、最近、電機メーカーB社が発売した
液晶TVは、A社の特許権を侵害しているらしい
ということがわかりました。

A社は、どのようにB社に対応したらよいでしょう。

ここで、まず、確認しておきましょう。

B社の製品が、A社の持つ特許権の「権利の範囲」
に含まれなければ、A社の特許権の侵害にはなりません。

特許権は、発明という技術的思想であり、目に見えない
財産権(無体財産)です。

では、特許権の権利の範囲はどのようにして
判断すればよいのか 解説します。

特許権の範囲は、特許明細書の「特許請求の範囲」
の記載に基づいて定められます。

原則として、「特許請求の範囲」における全ての
構成要素が含まれている場合のみが、その特許権
の権利範囲に含まれるとされます。

例えば、A社の液晶TVの技術の特許において、
「特許請求の範囲」に、
「Xの材料とYの材料とZの材料を用いた液晶を
使用する液晶TV」と書かれていた場合、

B社の液晶TVが、
「Xの材料とYの材料を使用する液晶TV」であれば、
Zの材料を使用していませんので、A社の特許権
の権利範囲ではないということになります。

しかし、原則通りだと技術開発ひいては、
産業の発達に対応できない場合があります。

特許権の権利範囲を定める上で、重要なことが
あります。

自分が過去に主張したことを、後から
いや実は、そうでなかったんです。
と矛盾する主張は認められません。

民法の原則というか、常識です。
これは、「禁反言の原則」と言います。

この「禁反言の原則」を適用して、
特許権の権利範囲を限定した判例
があります。

その例は、
A社は、この発明について特許を取得する
審査の中で審査官から拒絶理由をもらいました。

そこで材料Xを、50%以上使うことのみ
が効果があるんですと意見書で主張しました。
そして特許権を取得しました。

後で、実は30%以上でもよいと主張する。

前の主張と矛盾するものです。
これは、許されません。

意見書を提出する場合は、将来の権利の
行使を考えて、慎重にすべきです。

後で、いや実はそれは違ってました。
とは言えないからです。

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