知的財産権講座第209回:特許権の活用
特許権の活用
知的財産権のコンサルタント的な視点で
お話を進めていきます。
特許権を取得しましたが、その製品について
自社のみで製造すべきか
他社にライセンスすべきか
その戦略の判断のポイントを教えてください。
知的財産権のコンサルタント的な視点で
お話を進めていきます。
話の前提として、A社は液晶材料の技術を持つ
中小企業、ベンチャー企業とします。
A社はいわゆるニッチな分野で、トップを
目指すことを考えています。
この場合は、どこで利益を得られるかを
考えることが大切です。
A社は、メーカーです。
①将来的に市場が拡大した際に、自社での
生産能力が十分あるか
自社生産で対応できるだけの設備投資が
可能化ということを検討する必要があります。
短期的な見方や戦略だけでなく、中長期的な
戦略も見据えなければなりません。
これが、将来的に難しいと判断するなら
他社へのライセンスを検討すべきです。
A社の特許は、液晶材料の特許だけでなく
その製造方法、その製造装置です。
この場合、装置の技術に強い他社に製造装置
の部分だけはライセンスを与えるということも
考えられます。
部分ライセンス戦略です。
そのためにも、関連した技術の特許を幅広く
取得しておくことが重要です。
②製品の販売ルートの確保
将来的に、市場が拡大した際に、
製品の販売先、販売ルートの確保は
十分できるのか
製品の販売先を増やす必要がある場合には
ライセンスも検討課題になります。
他社にライセンスを検討する場合に、
次にやるべき重要なことは、
自社の技術レベルの確認と他社の特許との
調査です。
ここで、特許調査を行います。
特許調査の結果、自社の製品の技術が他社より
優れていて、先行している場合には、中長期的
に、独占的な利益を得られる可能性があります。
一方で、特許調査の結果、自社の製品の技術が
他社と差がない場合、
独占的な利益を得る可能性が低いです。
この場合、自社の特許権と他社の特許権を
互いに、ライセンスする「クロスライセンス」
という戦略を採ることを考えることも
必要です。
おのれを知り、敵を知れば、百戦危うからず
特許調査は、この場合、重要です。