知的財産権講座第31回:著作権の侵害
知財検定2級実技試験の問題より著作権の出題です。
甲は、コンテンツA~Cの利用方法について発言1~3をしている。
発言1~3について、適切と考えられるか。
発言3 「このコンテンツCは、過去10年間におけるアジア諸国の人口数を表したデータ
です。日本の人口に関する論文において、日本とアジア諸国の人口を比較する
ために、このデータ使用したいと思います。この場合、このデータを作成した
人に許諾なくデータを使用することができます。」
正解は、○
理由を一言でいえば、著作物の定義にあたらないためです。
この問題のポイントは、
過去10年間におけるアジア諸国の人口数を表したデータが著作物であるか?
です。
著作権法では、「著作物とは?」について規定しています。
著作権法2条1項1号の規定です。
それは、
1.「思想または感情」の表現であること
2.「創作的」なものであること
3.「表現したもの」であること
4.「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であること
過去10年間におけるアジア諸国の人口数を表したデータは、
以上の要件のいづれにも当てはまりません。
著作物では無い以上、自由に使用できるというわけです。
これは著作物ですか?
という問題は重要ですので、知財検定やビジネス著作権検定でもよく
出題されるテーマです。
上に書いた、4つの著作物の定義をしっかり頭に入れて判断してください。
著作権として保護したい、そのデータや資料を自由に使用できるのか?
など実生活の場面でも重要ですので、よく理解を深めることが必要です。
著作物の登録制度を利用したいという相談がありますが、その場合に
まず、それは著作物ですか?その確認から始めることもあります。