相続手続きの流れその17(遺産分割の調停)
遺産分割の調停に違反したら?
相続人の間で、遺産分割の協議をしても話し合いがまとまりません。
もし協議がまとまらない場合は、調停・審判の申し立てを家庭裁判所にすることができます。
遺産分割の調停がまとまりました。
遺産の分割の話し合いが無事にまとまると一安心というところです。
しかし、遺産分割後にトラブルが生じることがあります。
以下の問い合わせをいただきました。
◆問い合わせ
遺産分割の調停に違反したら?
父Eさんが先日亡くなりました。
Eさんには、相続人としてA、B、Cは兄弟3人がいます。
遺産分割の協議をしても話し合いがまとまらなかったため家庭裁判所の
調停により遺産分割が以下のように決まりました。
「長男Aは、家と土地を取得します。その代わりに、次男B、長女Cにそれぞれ1000万円ずつ支払います。」
ところが、長男Aがこの遺産分割調停に違反して、お金を払ってくれません。
調停を解除できるでしょうか?
◆回答
結論からいうと、調停の解除は認められません。
長男Aが調停の約束に違反していることは明らかです。
次男B、長女Cは、長男Aの「債務不履行」として遺産分割の調停の解除できるでしょうか。
解除は認められません。
なぜなら、調停の安定性を害するからです。
長男Aは、家と土地を取得したままとなるのでしょうか
これでは、長男Aの取り得になってしまいます。
そうではありません。
次男B、長女Cは、調停に基づいて家庭裁判所に長男Aの財産を強制執行をしてもらいます。
すなわち2000万円を回収することができます。
長男Aは、調停で2000万円を支払うだけの財産を得ています。