相続手続きの流れその8(調停と審判)

遺産分割協議で決着がつかない場合
遺言書がなかった場合には、相続人による話し合いで決めます。
これを協議分割といいます。
なお、遺言書がある場合でも、話し合いで決めることもあります。
協議分割では、相続人の一致があれば、どのようにでも分割することができます。
しかし話し合いによる協議分割がうまくいかないときはどうなるのか?
相続人の間で、遺産分割協議がうまくいかない場合、あるいは協議することすらできない場合には、相続人等は家庭裁判所に調停または審判の申し立てをすることができます。
これを調停分割、審判分割といいます。
そのどちらを選ぶかは自由です。
多くは、話し合いでの解決を望むため、まず調停を選択します。
調停の申し立ては、相手方の住所地の家庭裁判所にします。
審判の申し立ては、相続開始地の家庭裁判所にします。
調停による分割
調停は、裁判ではありません。
調停は裁判官と民間人から裁判所による任命される調停委員2名以上から成る調停委員会により行われます。
調停委員会が独自の判断を下すわけではありません。
当事者間の話し合いによる合意で成立します。
この調停委員会で合意すれば、調停調書が作成されます。
この調停調書は、裁判の確定判決と同じ効力があります。
したがって相手方が調停調書の内容を履行しない場合は、強制的に調書どおりに権利の実現ができます。
調停が成立しない場合は、審判手続きに移行します。
調停で分割をするか、審判にまでもっていくかは、当事者が自由に選ぶことができます。
審判による分割
審判になると、当事者間の話し合いによる解決ではなく、裁判と同様に家庭裁判所納付審判官(裁判官)が強制的に
遺産分割の審判を下します。
裁判と同様に審判官による職権での事実調査や証拠調べが行われます。
これが調停とは大きく異なる点です。
なお、審判となっても家庭裁判所は、職権でいつでも調停に回すことができます。