知的財産権講座第40回:知財戦略

知財検定2級実技試験の問題より知財戦略の実務に近い出題です。
私が実際に仕事で出くわすような話ですね。
電気メーカーX社の知的財産部の部員甲が、自社の出願権利化戦略を
構築せよとの命令を知的財産部の部長乙から受けた。
発明を特許出願すべきか営業秘密として保護すべきかに関する
甲の発言は適切と考えられるか。
「発明を特許すべきか営業秘密として保護すべきかは、その発明
に基づいて事業化した場合にその発明に第三者が到達できない
度合いによって決定すべきであり、販売された製品から発明
を技術的に理解できる場合は、特許出願するのが望ましいと
思います。」
正解は、○
発明を特許すべきか営業秘密として保護すべきか
企業の知財戦略いおいて重要な問題です。
販売された製品から発明を技術的に理解できる場合
ここが、ポイントです。
発明を第三者が、無断で実施した場合に、当社の特許権
を侵害していると明確に技術的に把握できることが
必要です。
これができないと、特許権を侵害していると
訴訟を起こしても、勝訴することが難しいからです。
販売された製品から発明を技術的に理解できる場合は、
特許出願するのが望ましいということになります。
いわゆる「強い特許権」です。
逆に言えば、販売された製品から発明を技術的に
理解できない場合は、営業秘密として保護すること
を考えるべきです。
製品の製造上のノウハウは、技術的に理解できない
場合があり特許権利化が難しい場合が多いため、
営業秘密として保護することを考えるべきです。
営業秘密として保護するためには、企業として
営業秘密の管理体制をしっかりと構築する
必要があります。
特許出願をすると、発明の内容が公開されます。
したがって、発明を隠していても、いずれは
他人が到達しうる場合には、
特許出願したほうがよいでしょう。
製造上のノウハウなど、他人が到達できないと
判断する場合は、営業秘密として保護する
ほうがよいでしょう。
今回の問題も、知的財産権コンサルタント、
知的財産権の実務的な問題でした。